お見合い相手は冷血上司!?
「晴人の嫌がる話、かな?」
妖艶に笑う男性と、怒りの色を表す課長。
二人の間に流れる沈黙は息苦しいほどの圧迫感を放っていて、私はその様子をただ眺めているしか出来なかった。
「まぁ運良く亜子さん見られたんで、今日は帰るよ。話はまた今度。じゃあね、亜子さん。また会うことになると思うから」
ひらりと手を振り踵を返す男性。
私は消え入りそうな声で「はい」と返すのが精一杯だった。
扉が閉まっても尚、ひどく顔を顰めて動かない課長を見て、この事態が只事ではないことを理解する。
「……課長?」
恐る恐る声をかけると、一点を見つめていた彼の目線は徐に私を追う。
「大丈夫ですか? 顔、真っ青です」
それが熱のせいだけでないのは明らかで、駆け寄った彼の目が初めてひどく揺れているのを見た。
戸惑う私を見た彼は、覆い被さるように私を抱き締める。
「…………鈴原」
力なく呟いた表情は見えないけれど、彼がその手を離すまで、私はぷつんと糸が切れたような彼を受け入れ続けた。
妖艶に笑う男性と、怒りの色を表す課長。
二人の間に流れる沈黙は息苦しいほどの圧迫感を放っていて、私はその様子をただ眺めているしか出来なかった。
「まぁ運良く亜子さん見られたんで、今日は帰るよ。話はまた今度。じゃあね、亜子さん。また会うことになると思うから」
ひらりと手を振り踵を返す男性。
私は消え入りそうな声で「はい」と返すのが精一杯だった。
扉が閉まっても尚、ひどく顔を顰めて動かない課長を見て、この事態が只事ではないことを理解する。
「……課長?」
恐る恐る声をかけると、一点を見つめていた彼の目線は徐に私を追う。
「大丈夫ですか? 顔、真っ青です」
それが熱のせいだけでないのは明らかで、駆け寄った彼の目が初めてひどく揺れているのを見た。
戸惑う私を見た彼は、覆い被さるように私を抱き締める。
「…………鈴原」
力なく呟いた表情は見えないけれど、彼がその手を離すまで、私はぷつんと糸が切れたような彼を受け入れ続けた。