お見合い相手は冷血上司!?
第六話 冷血上司が消えたなら
ついこの間まで生温かい風を肌に感じていたというのに、いつしか空は初夏らしく澄み渡っている。
眩い陽光とは裏腹に、私の心には小さな影が落ちていた。
「え、また……ですか?」
「そうなんだよ。大阪の長期出張から昨日帰ってきたばかりだったのに、急に決まってね。明日からは九州だって。今日はさすがに可哀想だから、準備日でってことに。大変だよね、黒瀬くんも」
私の肩をポンポン、と叩いた木津主任は、「あ、平田くーん!」と次の用を見つけて行ってしまう。
小さく息をつくと、ここがオフィスだということを思い出し、唇を固く結んだ。
課長の風邪は、一日で治った。
しかしあの日から、課長の姿は見ていない。
どれぐらいだったのだろうか、あの日課長が固く抱き締めた腕を解いたのは。
ゆっくりと離れた彼はいつも通りの表情を浮かべていて、私は何も聞けなくなった。
ただ当然のように私を抱き締めて眠る彼を、包むように目を閉じた。
眩い陽光とは裏腹に、私の心には小さな影が落ちていた。
「え、また……ですか?」
「そうなんだよ。大阪の長期出張から昨日帰ってきたばかりだったのに、急に決まってね。明日からは九州だって。今日はさすがに可哀想だから、準備日でってことに。大変だよね、黒瀬くんも」
私の肩をポンポン、と叩いた木津主任は、「あ、平田くーん!」と次の用を見つけて行ってしまう。
小さく息をつくと、ここがオフィスだということを思い出し、唇を固く結んだ。
課長の風邪は、一日で治った。
しかしあの日から、課長の姿は見ていない。
どれぐらいだったのだろうか、あの日課長が固く抱き締めた腕を解いたのは。
ゆっくりと離れた彼はいつも通りの表情を浮かべていて、私は何も聞けなくなった。
ただ当然のように私を抱き締めて眠る彼を、包むように目を閉じた。