お見合い相手は冷血上司!?
「課長……。私は、やっぱり課長が好きです。二度と会えないなんて言われても、課長が海外に行くって分かっても、その気持ちは変わりません。
 ……課長は、違いますか?」

「――俺は、お前のことはもう忘れた。あぁ、そもそも何も始まってすらいないな」

 間髪入れず返す彼は、無表情のまま。
 まるで仮面を被ったかのように、その表情はピクリとも動かなかった。

「……本当に、何も始まっていませんか?
 確かに私は、今の仕事がとても大切です。生きがいを感じているし、これから先も長く続けていたいと思っています。
 でも、仮に課長と結婚することになって仕事を辞めることになっても、それは私が課長の犠牲になったわけじゃありません! その時は、私が自分の意思で課長を選んだ時なんですよ……!」

 酸欠で息が上がりそうになりながらも、胸に秘めていた想いをぶつける。
 知らぬ内に涙は止まっていて、視界の真ん中には彼を捉えていた。
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