お見合い相手は冷血上司!?
――「で、何があったのよ」
「……何って、それは……」
案の定、お昼になった途端社員食堂まで引きずられるようにして連れてこられた私は、据え膳状態にされた大好物のボロネーゼランチを前に、悪魔の微笑みを見つめていた。
その顔には、早く言いなさい、と書いてあるも同然で、きっと私が話すまで崩れない。
「どう考えても、朝から様子がおかしい。オフィスに入るのを躊躇うばかりか、会議中にぼーっとして怒られるなんて。亜子らしくない」
「そこまで信頼してくれて、ありがとう」
「もう! 半分は嫌味よ。仕事人間ってね。それでどうしたのよ。何か悩みでもあるの?」
彼女は小首を傾げると、一瞬心配そうな顔をチラつかせた。好奇心だけで尋問しているわけではないことは、分かっている。本当に心配してくれていることも。
私も普段なら、一人では抱えきれず桃に全てを話し意見を求めていたはずた。
しかし、悩みの種が課長となれば、それも簡単ではない。