お見合い相手は冷血上司!?
「そう、別にいいと思う。人生結婚が全てじゃないもの。でも、それは亜子が一人でやりたいことがあるとか、何か目標がある場合だけよ。恋愛に嫌気が差して、とか、そんな理由なら、いつか必ず後悔する日が来ると思うもの」

 眉根を寄せて真剣な表情をする彼女は、言い終えると同時に悲しげに微笑む。
 胸がじわりと痛むのは、きっと心の奥底に隠したはずの傷跡を見透かされているからだ。

「まぁ私もまだ相手もいないし、偉そうなことは言えないけどね。でも私は、この人だ! って思える人に出会えれば、別に今すぐだって結婚してもいいと思ってるわよ」

「桃らしいな」

 彼女の裏表のないキッパリとしたところが好きだし、一緒にいてとても心地が良い。

「でも、そうやって自分に好意を抱いてくれている相手がそばにいるなんて、いいキッカケになると思う。亜子にとって、いい刺激を与えてくれるんじゃない?」

 そんなものだろうか? ブリザードに余計に凍らされる可能性もあるけれど。
 残ったボロネーゼを食べながら、今後のことについて思いを巡らせた。
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