お見合い相手は冷血上司!?
ビルを出て、すぐ隣に構える社員専用の立体駐車場へと入っていく課長。
手馴れた様子で窓口の係員さんに社員証を提示した彼は、足早に中へと進んだ。
電車通勤の私はここへはほとんど入ったことがない。
遠くの方でぼんやりと聞こえるエンジン音の中、互いのいつもより少し早い靴音が響くだけで、緊張は増した。
すると彼は、一台の車の前で足を止める。
流れるようなボディラインが特徴の黒のセダンワゴンタイプの車は、課長のイメージにピッタリだ。
キュインキュイン、と鳥の鳴き声のような電子音が鳴り、彼は助手席のドアを開けると、ようやくこちらに視線を流す。
「どうした、乗れ」
「え? 話があるんじゃないんですか?」
乗れ、なんて、今どき誘拐犯でももう少しマシな誘い文句を考えるはずだ。
それに素直に頷けるほど、まだ私たちの間には信頼も情も生まれていない。
手馴れた様子で窓口の係員さんに社員証を提示した彼は、足早に中へと進んだ。
電車通勤の私はここへはほとんど入ったことがない。
遠くの方でぼんやりと聞こえるエンジン音の中、互いのいつもより少し早い靴音が響くだけで、緊張は増した。
すると彼は、一台の車の前で足を止める。
流れるようなボディラインが特徴の黒のセダンワゴンタイプの車は、課長のイメージにピッタリだ。
キュインキュイン、と鳥の鳴き声のような電子音が鳴り、彼は助手席のドアを開けると、ようやくこちらに視線を流す。
「どうした、乗れ」
「え? 話があるんじゃないんですか?」
乗れ、なんて、今どき誘拐犯でももう少しマシな誘い文句を考えるはずだ。
それに素直に頷けるほど、まだ私たちの間には信頼も情も生まれていない。