お見合い相手は冷血上司!?
気になって控えめに見上げると、彼は口元に薄笑いを見せていた。
反射的に笑ったような柔らかな表情に、思わず胸がドキッと音を立てる。
驚いてつい大袈裟に顔を逸らすと、彼は不満気に顔を覗き込んできた。
「何だ。そんなに顔を顰めて。涙でぐちゃぐちゃな顔が、より不細工になるぞ」
淡々とした口調はいつも通りだけれど、不思議なことに、以前までのような恐怖感や不快感はまるで感じない。
それどころか、初めて見る彼の大きくはないけれど、意外に豊かな表情に静かに心を揺さぶられていた。
「そろそろ、出発するか」
シートベルトをした彼が、ハンドルを握り息を吐く。私もシートベルトに手を伸ばすと、今度はカーオーディオから音楽が流れ出した。
流れてきたのは、海外の有名なロックバンドの一曲。
これまた少し意外で、耳を傾けながら、流れる景色を見つめた。耳に届く音が、目に映る景色が、全てが美しく見えて、こんなにも晴れやかな気待ちになるのは、久しぶりだった。
反射的に笑ったような柔らかな表情に、思わず胸がドキッと音を立てる。
驚いてつい大袈裟に顔を逸らすと、彼は不満気に顔を覗き込んできた。
「何だ。そんなに顔を顰めて。涙でぐちゃぐちゃな顔が、より不細工になるぞ」
淡々とした口調はいつも通りだけれど、不思議なことに、以前までのような恐怖感や不快感はまるで感じない。
それどころか、初めて見る彼の大きくはないけれど、意外に豊かな表情に静かに心を揺さぶられていた。
「そろそろ、出発するか」
シートベルトをした彼が、ハンドルを握り息を吐く。私もシートベルトに手を伸ばすと、今度はカーオーディオから音楽が流れ出した。
流れてきたのは、海外の有名なロックバンドの一曲。
これまた少し意外で、耳を傾けながら、流れる景色を見つめた。耳に届く音が、目に映る景色が、全てが美しく見えて、こんなにも晴れやかな気待ちになるのは、久しぶりだった。