浅葱色の記憶
次々に斬られた男の声が聞こえる

新選組の人の声じゃない


呼吸を整え、よし!

紛れ込むぞ!!


乱闘の中に入り、刀を拾う


「うわあっ!!」


藤堂さんが声を上げた


「平助!?無事か!?」



永倉さんが呼びかけていたが
永倉さんは、来れないようだ

藤堂さんの方に行き

藤堂さんにとどめを刺そうとしている奴を

ドカッと蹴り、峰打ち

とりあえず月明かりのところに引きずり
応急処置しておこう


斬られたおでこを止血するため
藤堂さんの懐から手拭いを出し、それを当てて鉢金を巻いた

「うぅっ…」

藤堂さんが目を開けた


「動かないで!ここでジッとしてて!」


藤堂さんは、再び目を閉じた



中に戻ると、藤堂さんが戦線離脱した分
永倉さんが大変なことになっていた

提灯の小さな灯りで照らされた永倉さんは
手に怪我をしていた


永倉さんの邪魔にならないように
敵を拾った刀で峰打ちして行く


敵がいなくなった頃


「お前、誰だ?」


永倉さんの言葉が胸に刺さるが


そこら辺の奴の着物を切り取り
永倉さんの怪我を応急処置して

近藤さんを探す


「おい!……っ!近藤さん!!」


ついてきた永倉さんが、近藤さんを加勢してくれたから、ここは、大丈夫だ


2階に行こう!




2階は、敵と宗次郎しかいなかった

1人でこれだけやっつけたの???

さすがっていうか、凄すぎ




余裕を見せる敵と違い
宗次郎には、疲れと
それと違う体調不良が目に見えた

敵が刀を振り上げた時

宗次郎の膝がガクッと落ちる



すかさず、間合いに入り

刀を受け流すと、敵を峰打ちした



「あ……り……がと」



宗次郎が、意識を飛ばした

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