浅葱色の記憶
翌朝







朝餉作りの為、こっそりと腕の中から
すり抜けた


寝れるわけもなく


寝返り打つこともなかったから


体が痛い



永倉さんに悪い事したな




今日は、非番だっけ






午前中の一通りの仕事が終わると
山南さんの部屋へ


「すみません
やっぱり、部屋替えして貰えますか」


「仲良くしてたようだけど?」


「だからですよ
気持ちが抑えられそうになくて
何か、適当な理由で部屋替えして貰えると
助かるんですが…」


「考えておきましょう」


「ありがとうございます」







昼過ぎに佐々木さんが屯所に来て
近藤さんにわーわー言っていた


そういえば


何日か前も、わーわー言っていた



お茶を出しに行くと
その内容が耳に入った


長州浪士と思われる女好きの男がいて
そいつに山崎さんが接近したけど
ダメだったらしく
困っているらしい


「私が行ってみましょうか?」



一斉に、視線が集まる


「ほら!私、女顔でしょう?」


山崎さんの身代わりなんて、差し出がましいとは、思うけど
一応、本物の女だし?


「おお!お前、なかなかの顔だな!!」


チッ  心の中で舌打ちする

このスケベが!!

覚えているのは、私だけだろうけどね



「危険かもしれねえぞ」

「一応、新選組の隊士ですし」



土方さんにそう言えば



「一応ではありませんよ」


山南さんが言ってくれた

その言葉に俄然張り切る!


「だったら!やらせてください!」



「まだ入隊間もないし、やめとけ!」


予想外に永倉さんが止められた





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