浅葱色の記憶
夜、静かな屯所の自室で

布団に横たわり考える


サクタ大丈夫かなぁ



心配しても仕方ないことは、承知してる




だけど、不思議と帰ってくるような
そんな気持ちもある



ふと、唇の感触を思い出し
胸の高鳴りを感じる


口づけ…… したんですよね……




自分にとって、サクタがどんな存在なのか
気がついた



私… サクタに惚れてしまってる



まだまだ、修行の身なのに…




翌日




佐々木さんがサクタを訪ねてきた


「いないだと!?」


真っ青になり、困惑していた


「殿に… なんて言えば良いのだ…」


???


「なぜ、会津公がサクタ君に用事を?」


「友なのだと仰せだ
以前、ここで過ごしたのだとか
そんなことあったか?」



私達は、サクタの記憶がない

だけど…会津公は、覚えている




「もしかしたら…桂も?」


「そうかも知れないね」


「私達が、サクタの記憶を取り戻しては
都合が悪いんですよ!
だから、サクタは、ここを出ようとした」


「ああ だが、行く当てがなくて
ここに残ることにしたが、偶然
桂と再会した」


「なるほど… 鈴の音を合図に
連れ去って貰う手はずで
恋仲だと嘘までついた」


「なのに、桂は新選組に戻る道も残し
連れ去ることにしたんだろうな」


「なんの話だ!?
殿になんて言えば良いのだ!?なあ!?」


「桂に拐かされたとそのまま伝え
必ず、取り戻すと新選組が言っている
そう、お伝え下さい!!」





サクタ…… サク…… 


あぁ 思い出せそうで


思い出せない…



サク? 



違う



私は、何か違う呼び方をしていたはず











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