浅葱色の記憶

協力

｢桂さん…暇｣


｢まぁ　そう言うな｣


とある屋敷の一室


家事をするでもなく、ただゴロゴロと
1日を過ごしている



この人は、本当にいい人だと思う

私に好きな人がいると知ってから
私にキスをしてこない

退屈だと、我が儘を言う私に
毎日付き合って、話をしてくれる



きっと、私が新選組に帰りたいと言うまで
こうして、つき合う気なんだと思う



｢真結　いつでも遠方に逃がすことは出来る
だが、本当にそれでいいのか？
少し考えておけ
俺は、真結の幸せを望んでいる
真結が幸せになるための手伝いなら
例え危険なことであれ、喜んでやるぞ｣



この日は、私の頬を撫でながら
そんなことを優しく言った


まったく！　この時代の人って
どうして、こんなに優しいの？





｢ありがとうございます
考えてみますね…｣



｢ああ　ゆっくり考えろ｣





そう言い、桂さんは文机に向かった



その背中に、感謝をする


本当なら、記憶のことや
素性を聞きたいだろうに

何も聞かずに、匿ってくれている




本当に、いい人