浅葱色の記憶
ドンッ



「イテテ」



急に止まるから、桂さんの背中にぶつかる



遠く河原の方に、新選組の幹部達

やっぱり…

桂さんは、いい人すぎる




「行けよ!」



怒った口調の桂さんの背中に
手を当てた


「そんな言い方しても、嫌いになりませんよ
桂さんが、私の為に新選組に乗り込んで
さらってくれたことも
帰れるようにしてくれたことも
全部、ちゃんとわかってますから…
口づけだって、わざと嫌われようと
私を恐がらせようとしてるんだとか
ちゃんと、わかります」


「頼む……行ってくれ……
真結がいると、死ぬのが怖くなる
もうすぐ、戦が始まるんだ」


「知ってます」



「あいつらなら、真結を守ってくれる」



「桂さん、今度の戦は長くありません
あなたは、死なない
私を利用しようとは、思わないの?」



「ああ 思ったことないな
真結が、俺を好きになればいいのにと
そう、思ったことならあるが…

永倉が待ってるぞ
記憶が戻り、真結が消えてしまったらと
とても怖がっていた
その気持ちが、今朝わかったよ
昨夜、永倉に忘れられた真結の気持ちを
考えた

先の世に確かな約束などない
真結の知っているものが変わったところで
どうということもない
今、どうあるべきか
それだけでいいと俺は、思う
今!真結が消えてしまったら…
永倉の元に戻さなかったことを
一生後悔してしまうんだ

真結から、大切な人を引き離したと
後悔して生きていくんだ

真結の笑顔を奪うくらいなら

俺は、真結を手放した方が良い」





どうしてこんなに私を思ってくれるんだ?


なんで、桂さんはこんなに優しいのに
新選組と敵なんだ?




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