浅葱色の記憶
巡察の為、永倉さん不在の部屋




私… 一体どうしちゃったんだろう




「新八が帰って来るまでいてやるから
寝てろ!」



って…


「なんで、手を???」


「なんでって、いつもお前ら手を繋いで
寝てたじゃねえか」


「!!!!!
気づいてたの!?
じゃない!!思い出したの!?」


「寝てろって」



飛び起きた私をポンと布団に押し戻す



「嬉しいはずなのにな…」




原田さんは、目を細めた



「嬉しくないですか?」


「サクタが消えて…
すぐに俺達の記憶が消えた訳じゃ無いんだ」



私は、全く予想していなかったから
言葉を失った
原田さんが、優しく笑った


「新八は、いつもサクタを探してて
部屋にひとりになると
サクタが消える恐怖で寝れなくなったんだ
みかねた土方さんが、俺に帰ってこいって
言ったんだ
記憶が消えたのは、その朝
あの池田屋の朝だ」



原田さんが手に力を入れた



「一人で悩んで、消えたりするな
新八に惚れてるなら
あいつにあんな辛いことするな」



原田さんの目が真っ直ぐに私を見据える

私は、上半身を起こし
原田さんと、向き合った


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