浅葱色の記憶
中山さんは、逃げて行った


「ううっ サクタ…」


藤堂さんの意識が戻った

私は、ペタンと座ったまま
動けなくなった


「サクタ 怪我ないか?
無茶するなよな!中山は?」


騒ぎに駆けつけた斎藤さんや原田さんの
巡察組に母子を頼み

藤堂さんと屯所へ


「5日間の謹慎だ」





藤堂さんを気絶させ、刀を奪ったうえ
中山さんを捕り逃がした




暗い蔵でポツンと座る




謹慎は、3日間で終わった


私が、水も食事もとらないから…


私も新選組の一員なのに、止めなきゃいけなかったのに…




「サクタが気に病むことじゃねぇって…
一生懸命、説得したんだろ?
俺は、サクタが中山を斬れなくて良かったと思ってる…
サクタには、耐えられねぇよ」


永倉さんは、毎日たくさん声を掛けて
時には、私を撫でてくれた


「中山さん… また殺しをするよね…」


久しぶりに発した言葉は、これだった


「俺達が止める」


不甲斐なさと、希望が混じり
言葉に出せない気持ちが
涙になって、溢れてくる


永倉さんは、そんな私を抱きしめて

泣きやむまでの数時間

ずっと、付き合ってくれた


「…すみません」


「俺、サクタの事が好きなんだ」


「え?」


「サクタが、好きだ」


心臓がジャンプしたと思う

すごいドキッドキッしてる



「中山の事は、俺達に任せてくれ」



私の涙を永倉さんが、両手で拭う


「真結…って、呼んでいいか?」


「……はい」


返事をすると永倉さんの唇が
遠慮がちに私の唇に触れた

き…す…?


ぱちぱちと瞬きをし、かぁっと
顔が熱くなる


「真結…」


今度は、しっかりと

そして…

トロトロになっちゃうくらい

すごく優しいキス


大胆にも、永倉さんのキスに
しっかり反応して、どんどん深くなる



< 62 / 171 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop