浅葱色の記憶
場所を近藤さんの部屋に移した


「サクタ君に違和感を覚えたのは
聞き慣れない言葉を使ったとき
刻限や読み書きが出来ないのに
反抗期だとかいう言葉を使っていた
それから…
もしかしたらと、色々な本を読んだ」


山南さんが眼鏡をスッと持ち上げる


「結論として、時渡りをしたと確信した」


「待て…待ってくれ
サクタのことだよな?」

一応、土方さんが聞きなおす

「私です」

皆の口が、ぽかーん


「何年後か聞いてないけど
恐らく、先の世と今、両方に体が分かれ
魂は、1つだから
行ったり来たりしてるんだよね?」


「はい」


「それで、父親が命を狙ってる」


「はい」


静かすぎる


反応がわからない



「すげえ!サクタ!お前やっぱすげえ!」



お決まりのように、原田さんが
テンション上げてくれて

皆も、なぜかキラキラしてる


「嫌いになってない?」


恐る恐る聞くと



「なるかよ!?」

「なんだ……私、てっきりどこかのお姫様かと思ってましたよ!」

「俺も!世間知らずだもんな!」

「いや、姫でも刻限や読み書きできるだろ」

「そう!俺、姫で閉じこめられてたのかなって、考えた!」

「んで、男装して逃げた!」

「幹部会議で、こんな話ばかりだったんだ
先の世から来た、普通の人って奴だな」


拍子抜けっていうか

嬉しい




「もう、皆すっごく大好き!」





嬉しくて、泣いてしまった





「で?どれくらい先の世なんだ?言えるか」

「私、よく知らないんですけど
多分……150年くらいかな?」




あれ?

静かになった





「コホン で?どうやって来た」


「そこら辺の記憶がないんですけど
頭を打って、死にかけたからかな」


「中山は?」


「中山さんは、私を助けようとして
大きな荷車みたいなのにぶつかったみたい」


車を表現出来ない
もどかしい






「真結 俺、井戸やこの前
真結が血まみれの姿見たんだ」


「あ!やっぱり!見えてたんですか!?」



永倉さんの反応でそうだと思っていたけど
お互い、この話題を避けていた



「先の世のお前が死んだらどうなるんだ」


「わからないけど
予想では、消えちゃうのかなって
中山さんがそんな感じだったから」






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