浅葱色の記憶
時渡り
必ず新選組に戻る

その強い気持ちで、瞼を開ける


え?


永倉さん!?


「真結…なんだここ
真結…どうしたらいい?」


永倉さんが、病院にいる!!!


「助けを呼んでくる!」


わぁーその格好で!?


「なんだよこの扉!!
おい!真結を助けてくれ!」


永倉さん…



偶然なのか、機械の異常で駆けつけたのか

「スイッチが切られてる…」

スイッチを入れてくれたらしく
呼吸が楽になった


「まさか?君か!?」


「俺じゃねぇよ!真結の母親だ!」


「君 彼女の道場の先生かい?」


「先生じゃねぇけど、真結大丈夫なのか?」


「あぁ先日は、父親に首を絞められ
次は、母親か…可哀想に
日常的に虐待があったのかもしれない」


「あんた… 何者だ」


「ここのDr.だが?」


「どくたあ?」


「真結についてるそれなんだ」


「人工呼吸器だが?」


「それは」


「点滴」


「それは」


「心電図」


「それは」


「聴診器だよ
君、なんだか…侍みたいだね」


永倉さんが、刀持ってなくてよかった
確実に警察呼ばれてるよ


「うん 胸の音もいい
賑やかなお友達だね
あんまり騒がれると困るから
早く起きて、連れて帰ってくれると
助かるよ」


と、先生が言う通り

永倉さんは、窓の外を見て絶句したり

兎に角、騒いでいる



ピクリとも動かない私の体



先生が部屋を出ると、永倉さんが
私の手を握る


帰らなきゃ


永倉さんを連れて、帰らなきゃ




〝サクタ!! 永倉!!〟



皆の呼ぶ声がする



帰らなきゃ!!!







懸命に瞼を閉じた











 


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