アンドロイド#01
完成
「…完成よ。」
溜め息混じりに呟いたのは、白衣を纏った30代前半の美しい女性だった。
コトリ、机にオシャレな茶色のフレームメガネを置く。
「ふぅ‥」
ひどく疲れた様子だった。
肘を机に置き、眉間を指で挟んで俯く。
コンコン、研究室のドアをノックする音が聞こえ、応答を待たずに青年が入ってきた。
「シェリル博士、お疲れ様です。」
「…あぁ、ありがとう。」
そう言って、シェリル博士と呼ばれた女性は、差し出されたコーヒーを受け取った。
「彼はどうです?」
「…ええ、まだ起動しないわ。
少し時間がかかるようなの。」
そう言って、シェリル博士は全身をチューブに繋がれた美しい少年を見つめた。
「そうですか。
彼が上手くいけば、博士は有名人になりますね。」
青年の言葉に、シェリル博士は苦笑した。
「有名になる為に彼を作った訳じゃないわ。人間が救うには限りがある災害者を救う為よ。」
それを受けた青年は、お見逸れしましたとでも言うように「そうでした。では、僕はこれで…」と言って、博士の研究室を出て行った。