アンドロイド#01

頭の中が真っ白になった。

何がなんだか理解出来ない。

全身から血の気が引いていくのが分かる。


ギュ、と手を握られた私は、力無く横を向いた。

そこには、心配そうに見つめる息子の姿があった。


嗚呼、何故こんなことに…。

ダルは嫌な予感がすると言っていたのに…。

私があのとき、ダルの話を聞いていればこんなことには…


「ママ、だいすき。」

「…え?」

涙で滲んだ視界に、愛する息子の満面の笑みが見えた。

「大丈夫だよ、怖くなんかないよママ。」


少し表情が強張っているのが分かる。

本当は怖いくせに、私なんかのために精一杯の笑顔を造って…

嗚呼、なんてこの子は優しい子だろう。

そうだ、私が彼にダルと名付けたのは、dullには「痛みを和らげる」という意味があったからだ。

人の痛みを和らげる優しい子に育つように、と名付けたのだ。

その通りに育ってくれたのね、この子は…。

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