アンドロイド#01

酸素マスクの装着を強制され、いよいよ胴体着陸の体勢に入る。

ドク、ドク、ドク、ドク、
頭に心臓の脈打つ音が聞こえる。


燃料は飛行機の羽の部分にある。

私達が乗っている飛行機は、羽が地面に近いタイプのものだ。

それ故、火花が燃料に引火する確率も低くない。

引火すれば一貫の終わり…


ここで死ぬのか、そう思えば泣けてくる。

私の人生、あまり可愛いものではなかったわね。

女としては、いつも意地ばかり張っていて可愛い女になれなかった。

母親としても、仕事ばかりで息子に構ってやれなかった。

いつも寂しい思いをさせて…本当、母親失格ね。


だけど、こんな私にも誇れるものがある。

こんな私を、恨むどころか愛してくれる最愛の息子、ダルが居ること。

自分の信念を貫き通した結果、とても良い仕事が出来たこと。

…まだ死ぬのは早い。

私も、この子も。

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