アンドロイド#01

「疲れちゃった?」

クスリ、柔らかく微笑んだときだった。

タラリ、紅いものが、ダルの口から垂れたのは。

「…ダル?」

ドクン!心臓が、痛い程反応する。

「ダル…ッ!!」


私の異常な叫び声に、隣の席に座っていた婦人が気付いてくれた。

すぐに客室乗務員を呼び。
外で待機していた救急車に愛しい息子は吸い込まれていった。

多分、私も一緒に乗ったんだと思う。

だけど記憶が曖昧で。
今もよくは思い出せない。


息子の死因は、舌を噛んだ故の窒息死だった。

衝撃の際に舌を噛み切ってしまったのだろう、とのことだった。

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