アンドロイド#01
アンドロイド
それから、シャープは研究所で多くの実験を試された。
災害感知システムにより、独断で救助に向かうことも少なくなかったが、その都度、彼の実力が本物であるという確証に繋がっていった。
月日が経ち、学会でも発表され、シェリル博士は脚光を浴びるようになった。
しかし、博士の鼻が天狗になるようなことは決して無かった。
『…博士。』
「何かしら。」
メンテナンス中に、珍しくシャープの方から話し掛けてきた。
『博士は、嬉しくないのか?』
「…何が?」
『…博士は称賛を浴びて、優遇されるようになった。しかし博士はそれを嫌がる。』
“嬉しくないのか”…か。
自我が目覚めてきたのかしら。
それでもおかしい。
人の感情を訊くなんて。
私はこの子に感情を与えていないし、寧ろそれを拒んだ。
そもそもアンドロイドに感情など、あるはずがない。