私たちの、歪な関係























「怪我してない?」



しばらくその状態でいると、隼が優しく私に声をかけてきた。

「ん、…多分」


正直、何が起きたかわからなかったから……


でも痛い思いはしなかったから怪我はしてないと思う。


「念のため、保健室行こう」

隼はそう言って私を立ち上がらせる。


保健室……


でも保健室にはハルちゃんが……


隼を見上げる。


「大丈夫、行くよ」


隼はそう優しく言うと私の手を引いて歩き始めた。


でも、でもっ……!



私は保健室の前まで行くと、保健室に入るのを拒んだ。

「優衣?」

「だ、大丈夫。怪我してないと思うから……」


「いいから、行くよ」

隼は私の腕をぐっと引っ張って保健室のドアを開けた。


ガラガラッ


「あら?優衣に咲間くん。
久しぶりねぇ」


どうかした?と笑うハルちゃんはあの時のハルちゃんのまま。


「南雲先生、優衣怪我してないか見てください」


隼はそう言うと私をベッドに座らせて保健室を出た。


「あらあら….どうしたのかしら」


ハルちゃんは不思議がりながらも、ベッドの周りのカーテンを引いてすぐに私の体を見てくれた。



「………田中先生に襲われそうになった」


「えぇ!?」


ぽつりと、私は話し始めた。


「田中先生に、資料を運ぶよう言われて…
資料室行って帰ろうとしたら、腕引っ張られて……

目、隠されて腕掴まれて……

叫んだら、隼来てくれて……」


「優衣、もういいよ」


涙声になって話していると、ハルちゃんはそう言って私の手を握った。

「田中先生、若くてみんなに人気者だったからびっくり…
まぁ、若かったから優衣に気がいっちゃったのかもね。
優衣、かわいいから心配」


ハルちゃんは私の気を紛らわそうとしてくれたのか、カラ元気でそう言う。



「はい、おっけい!
怪我はないよ!」


「ありがとう、ハルちゃん」


「いーのよ。
怖かったね」

ハルちゃんはそう言って笑うと私を優しく抱きしめた。


「それより優衣、最近大丈夫なの?」


ハルちゃんはそう言って私の隣に座る。


「大丈夫って、何が…?」

「何がって…
わからないから聞いてるの!最近見かけてもなんだか元気ないように見えて声かけれなかった……」

ハルちゃん……


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