私たちの、歪な関係
「花音、ジュース買いに行こう」
「あー、行く行く。みんなの買ってく?」
「先生に頼も」
「それ賛成」
私と花音は忙しそうにしている教室を後にして職員室へ行った。
田中先生が解雇されてから少しの間学年付属の先生が来てくれていたが、すぐに新しい先生がきて引き継ぐ形で私たちのクラスの担任になった。
30代半ばで体育の先生。そして、熱血先生だ。
田中先生が解雇された理由は表向きでは『家庭の事情』とされているが、本当の理由を言わないでほしいと固く頼み込んだ。
だから知っているのは、学校関係者、隼、お母さん、花音くらいだ。
「せーんせー!」
「ジュース奢ってくださーい!」
花音…そんな単刀直入に……
「よーし!いいだろう!みんな頑張ってるからな!」
先生まで……
「やったぁ!優衣、行こう!」
「あ、うん!先生ありがとうございます!」
「頑張ってるからな!」
いい先生だと思う。
生徒のことをよく見ているし誰ひとりとして特別扱いもしない。
そして常に正面からぶつかってくる先生だ。
途中からきた先生だったがもうすっかり馴染んで当たり前のようにこの学校にいる。
みんな大好きだ。