私たちの、歪な関係



何がいいかなぁ。


ピアス…は隼開けてないし。

なんだか手袋も違うような気がする。


ストラップもなぁ…

わかんないなぁ。


小さくため息をつくと、お店に人に声をかけられた。


「いらっしゃいませ、なにかお困りですか?」


華奢で細い髪の毛を一つに束ねて…

なんて言うか可愛らしい人だ。



「プレゼントが決まらなくて……」


「彼氏さんですか?」

にこりと微笑む店員さん。

「まぁ……」


これで友達だったら恥ずかしいし相手も困るだろうよ……


「そうですねぇ、悩みますよね…」


どうやらこの人は本気で一緒に考えてくれているみたいだ。


「当店だとこちらの商品がクリスマスプレゼントに人気ですが……」


そう言って店員さんが見せてきたのはお揃いのブレスレット。



でも店員さんの語尾が引っかかる。

ですが…?


「私はここのブレスレットより、向かいのお店のブレスレットの方が好きです」



店員さんはそう言って少しいたずらっ子な顔をして言った。

「内緒ですよ?」


そう言って人差し指を口に当てて笑う店員さんはやっぱり可愛らしい。



「見てみますね。ありがとうございます」



「是非。よいクリスマスを」



笑顔の店員さんを置いて向かいのお店にはいると、そこはアクセサリー屋さんだった。


至る所にクリスマス限定の文字が書かれている。


…別に、クリスマス限定じゃなくてもいいよね?




端から見ていくと、ブレスレットのコーナーに来た。


…確かに、こっちのお店の方が種類もあるしどれも可愛い。


隼に似合いそうなのあるかな…?

……ブレスレットでいいのかな?


隼つけるかな?


あんまりつけなさそうな気もする。


やっぱ無難にストラップとかの方がいいのかな?


悩むな……


クリスマスって、大変。



明日を過ぎてしまえばこんなクリスマスの音楽も装飾もクリスマスの文字さえも消えるのに、今はこんなにクリスマスで溢れている。



クリスマスってすごい。



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