私たちの、歪な関係
「あっ」
私は忘れ物をしたことに気づいて声を上げた。
「どうしたの?」
「ちょっと…忘れ物……
けど大したことじゃないからいいや」
「?
行っておいで」
隼はそう言って私の手を離すと、背中を優しく押してくれた。
私は家に入ったが、やっぱりたいしたことじゃない。
けど隼がせっかく……
私は部屋に戻り忘れ物を取ると急いで家を出た。
「忘れ物あった?」
「うん、ほんとに大したことなくてアレなんだけど……」
私は忘れ物……ベレー帽をかぶった。
「ほんとにくだらなくてごめん…」
「大丈夫、かわいい」
隼はそう言って嬉しそうに笑うとベレー帽をちょっと触り、「まがってる」と直してくれた。
「行こう」
そして私の手を握って歩き出した。
「今日は遊園地」
隼は「クリスマスに遊園地とか、定番だけど最高じゃない?」と笑って続けた。
「うん、楽しみ」
そんな隼の笑顔につられて私もそう言って笑うと、隼に手を引かれて遊園地へ向かった。
遊園地、楽しみ。