私たちの、歪な関係
「おまたせー!
ごめん袋。ありがとう」
生姜を買い外で待っている隼の元へ行きレジ袋を持とうとするとそれを阻止された。
「?」
「いーからいーから。
送るよ」
そして私がそう差し出し手には隼の手が重なり、すごく自然に手を繋いだ。
そしてそのまま花音の家に向かって歩き始めた。
それになんだか恥ずかしくなってしまって私は俯いた。
「あ、優衣」
「ん?」
すると隼の声で簡単に顔をあげてしまった。
「なんかあった?」
隼の口から出た言葉に驚く。
「え……」
あったといえばありましたよ…
「元気ないから…」
俺の気のせい?と首を傾げる隼。
言っていいのかな?
お母さんはもう元気。
だから余計な心配かけるだけ?
「別に無理にとは聞かないけど、ただ気になっただけ。
忘れて」
隼の笑顔が苦しい。
ごめん…
この少し悲しそうな顔、私は本当に弱い。
「………お母さんが昨日の夜中病院に運ばれたの」
そして気づいたら口が動いてるんだ…。
「え?!」
「あ、もう全然元気なんだけどね…。
お店で暴力事件に巻き込まれちゃったみたいで……」
「そうだったんだ……
明日、俺も会いに行くよ」
「だ、大丈夫だよ!」
「んーん、行く」
「……お母さんも喜ぶよ、ありがとう」
「あたりまえ」
隼はそう言って笑うと私の頭を撫でた。
そして顔を寄せて軽くキスするとフッと笑った。
「前が嘘みたい。
優衣キスしてもこんな顔赤くならなかったのになぁ。」
そしてそう呟いた。
「…赤くならないように、抑えてたの」
顔が赤く、なんて自分で制御出来ることじゃないけど。
なるべく感情が出ないように隼のことはなんとも思ってない、なんとも思ってないと言い聞かせていた。
「なにそれ、じゃあもう抑えてないんだ?」
「だって、好きになっていいんでしょう?」
前は隼はハルちゃんの事が好きだと思っていたし私も自分の気持ちに気づかなかったから……。
「多分俺の好きには負けるね」
隼の言葉に顔に熱が上がるのを感じる。
「なんでそう、恥ずかしいことをそう平然と……」
隼は言えるんだ!