私たちの、歪な関係
「優衣、明日も来ていい?明日本番作ろう」
ハルちゃんはそう言って混ぜ終わった材料をラップに包んで冷蔵庫に入れた。
「もちろん。私もはやく決めなきゃ。」
材料も買わなきゃだしね。
どうしようかな。
隼なんか好きなお菓子あったっけ?
……わかんない。というか甘いものを食べてるの見たことない。
去年は市販のチョコの詰め合わせみたいなのあげた気がする。
…よく覚えてないけど。
「うーん」
……あ
チョコタルトにしよっと
「チョコタルト作る!」
「チョコタルト?美味しそうね。私も優衣のチョコタルト食べたい」
ハルちゃんはそう言って笑う。
「もちろんハルちゃんにもあげるよ!」
私も笑って答えた。
「どうしてチョコタルト?」
「それは…」
別に意味なんてないんだけど……
「去年、隼バレンタインにチョコタルト食べてたんだよね…。今思えば他の女の子からもらったやつなんだろうけど…」
ただそれだけの事。
だから今年は私のチョコタルト食べてほしいんだ。
去年は私、買ったものあげてたし。隼が食べてたチョコタルトはきっと手作り。
なんだか少し、心がモヤッとする。
「なるほどねえ、ヤキモチからチョコタルトあげるのね」
ハルちゃんはふふ、と笑うと「クッキー生地休めるから少し休憩しましょ」とお茶を入れてくれた。
「うん……」
私もそれに続いてエプロンを外した。
………ヤキモチ。