私たちの、歪な関係
卒業式



ーーーー


「春の訪れを……」







卒業生代表の生徒が体育館のステージで答辞を読む。


私たちはその言葉を聞く。

これで、最後。

今日はもう卒業式。

あっという間に2月はすぎて、みんなも進路先は決まった。

なんと、みんな第一希望のところに推薦がもらえたのだ。


本当によかった。


でもそれはつまり、みんなバラバラになるということ。


駿くんは県内にいるけどみんな、県外。

学校は遠い。

寂しいなあ。


と、ぼーっと答辞を聞いていると、隣からすすり泣く声。


花音だ。


「花音……」


「寂しいよ…」


私はそんな花音にハンカチを渡した。





















「あー、もう終わっちゃったね」



卒業式のあと、それぞれのクラスで集まるのも終わり、もうこれで私たちが帰れば私たちの高校生活は終わりだ。



花音と私は学校の校門近くに咲く桜を眺めてる。


「優衣ちゃーん、写真撮ろ?」

「もちろん!撮ろ撮ろ!」


もうこれで何人目かわからない人と写真を撮っている。


それも、今日で最後。





「ありがとう!優衣ちゃんかわいいよー!」


「そんなことないよ!こちらこそありがとう!」

「優衣ちゃん!写真撮ろー!」


「いいよー!」


次から次へと……

花音はいつの間にか駿くんと一緒にいる。


よかったな、花音と駿くん、仲良くなってくれて。



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