私たちの、歪な関係



ーーー


「あっ、優衣」


学校へ近づくと、久しぶりに聞いた声が。


「花音」


花音だ。

「久しぶり」


そう言って笑う花音はすっかり大人の女って感じでとても綺麗。


花音は今、学校の先生をやっている。

花音らしい。


「駿くんは?」


今日、みんなで隼を驚かせようって話だったはず。


「あ、来たよ」


花音は私の後ろを指さす。


「おっす」


そう言って登場する駿くんは、アパレル関係で働いているんだ。

さすが、オシャレだ。



「遅いよ!って言いたいところだけど」


花音?


「優衣、行ってきな。」

「へ?」

「みんなでびっくりさせようって話だったけど、やっぱり私たちはおじゃま虫になっちゃうかな~ってね」

花音はそう言ってウインクする。

「?」

状況についていけない。

「だーから、優衣が驚かせてあげてって言ってるの。その方があいつも喜ぶから。」

「そんなことないと思うけど……」

「あいつはそーゆーやつ。だから今日だって楓を置いてきたんだから…大変だったんだぞ」

駿くんはそう言って困ったように笑う。


楓ちゃん…?


「楓、優衣先輩に会いに行く~って聞かなくて大変だったんだから。あいついたら2人でゆっくりできないでしょ…せっかくの隼の晴れ舞台、2人でいちゃつけってこと」


駿くんはそう言っていたずらに笑う。



「いちゃつけって……」


せっかく2人とも来てくれたのに。


「大丈夫大丈夫、私たちはまた近いうちに会い来るから。今日は私の買い物に付き合ってもらうことになってるから、ね?駿くん?」



花音はそう言ってニヤリと笑う。


「ありがとう、2人とも」


「ほら!終わったぽいよ?行って!」


私は花音に背中を押されて歩く。


ありがとう、2人とも。気使わせちゃったな。



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