私たちの、歪な関係


「あ、優衣。おかえり」

ハルちゃんが笑顔で迎えてくれた。

「ただいまぁ」

そう言って保健室に入ると、隼は私のカバンと自分のカバンを持って立ち上がった。

「じゃあ、そろそろ失礼しますね」

「ええ。気をつけて帰るのよ2人とも」

「ばいばい、ハルちゃん。
また来るね」


隼からカバンを受け取ると私達はハルちゃんに手を振り保健室を後にした。


「今日長かったね?」

「うん、田中先生の頼み事が意外と時間かかって」

大嘘をつく私。

「そっか、お疲れ様」

そしてその嘘に乗る隼。

「でも、長い方が隼にとっては得でしょう?」

我ながら、意地悪な言い方だと思う。

「さぁね?」

そこを濁す隼も隼だと思う。

私は知ってるんだから、別にそこ濁らす必要ないと思うけど…。

まぁいいか。






























「じゃあ、また明日」

「うん、また明日」


隼は私をいつも家の前まで送ってくれる。

家の近くでいいって言ってるんだけど、それは男の役目だなんだーってうるさいんだ。

「優衣」

普通に帰るのかと思って隼を見送ると、急に振り返る隼。

「?」

夕日の逆光でよく顔が見えない。




だけど、隼が近づいてきたのはわかった。





「…」


「…ちゃんと寝ろよ」






隼は、私にキスをすると再び私に背を向けて歩いていった。











いつもは帰り、キスなんてしないのに。








なんだかそのキスは、私と隼の嘘の関係を改めて私に突きつけるようなキスに感じた。


















私と隼の間に、愛はない。

















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