私たちの、歪な関係
「花音ちゃん。
体育の帰りだったのかな?廊下ですれ違って教えてくれた」
花音…
別に教えなくてよかったのに。
「そうなんだ!だけど大丈夫だよ~
ありがと」
私がそう言って笑うと隼はハルちゃんをチラリと見た。
ほら、来たらハルちゃんにまた疑われちゃう。
「ハルちゃんありがとうね、じゃあ授業あるから行くね」
「ええ、お大事に~」
そしてハルちゃんに手を振って隼を置いて保健室を出た。
けど隼もすぐに出てきた。
「なんで置いてくんだよ」
「あのね、ハルちゃんに今バレそうなの。
隼と付き合ってるの。バレちゃダメでしょ?」
と、コソッと隼に言うと隼は眉間にシワを寄せた。
「別にいい。それより怪我のが心配」
「別にいいって…
よくないでしょ。」
何を言ってるんだこの男…
バレたら今までの無駄になるんだよ?
と思いながら隼を見てると腕を掴まれた。
「どこ怪我したの?」
「…膝と腕にかすり傷ができただけ。」
「……バカ」
隼はそう呟くと私の腕の袖をまくって手当された所にキスをした。
なっ…!?
「な、何っ!?」
「おしおき…?」
私はバッと手を隼から離した。
「は、隼最近おかしい!」
そして赤くなった顔を隠すように腕を顔に当てるとそう言った。
「そう?」
おかしいよ、購買の時から。
「俺は普通だよ」
隼はそう言っていつもの作り笑いをした。
それは普通だけど……
前は怪我してもこんな心配したように来なかったし、怪我したところにキスなんて…
「じゅ、授業あるから……」
だめだ、これ以上ここにいたらパンクする。
私は隼を置いて教室へ走って戻った。