私たちの、歪な関係
「えっ、優衣彼氏いたの?」
「彼氏ってゆーか……」
「もうすっごくイケメンの!」
だからなんで花音が答えるんだ。
「やだ~連れてきなさいよ!」
「お母さんと丁度入れ違いになるんだよ…」
「やだ、もうお家あがってる?」
お母さんははっとして言う。
「まぁ何回かは…」
ゲームするためにね。
「もう優衣ったら!言ってくれたらお仕事休んだのに!」
そんなこと言えるわけないじゃないか…。
「今度連れてくる時言いなさいね?」
「はいはい」
ここは適当に流すのが一番だ。
「お母さん、寝なくて大丈夫?また今夜仕事あるんじゃないの?」
そんな私のどうでもいい話題より、お母さんの体が心配だ。
「入ってるわよ~けど、久しぶりだもん、話したいわ」
「そんな、おばさん寝てくださいよ!
私はいつでも来ますから!」
花音も流石に気を使ってくれた。
「お母さん休んで。片付けはやっておくから」
「もう2人とも…
そうね、そうするわ。花音ちゃんゆっくりしていってね」
「ありがとうございますっ」
「じゃあまた」
お母さんはそう言って花音に手を振ると、2階へ行って寝てくれた。
ふぅ、少し落ち着いた。
「ちょっと、花音なんで隼のこと言うのよ」
そして花音に問い詰める。
そう、お母さんを寝かせたのはお母さんの為でもあるがこれが一番の理由だ。
「なんでって、ほんとの事でしょ?」
「ほんとだけど、嘘のことだよ…」
それに、隼は私じゃなくてハルちゃんが好きなんだ。
いずれ別れる時が来る関係。
終わりが来るんだ。
「いいじゃん、おばさんあんなに喜んでたし。
いっそのこと本当の恋人になればいいのに」
「だめだよ、隼にはちゃんと好きな人がいるんだから」
「……ふーん」
花音はそう言って残りの焼きそばを食べ終わると帰っていった。