私たちの、歪な関係


「駿くん?」

「…」

「ねぇ、」

「…」

なんでなにも答えないの。

「ねぇってば!」

私は足を止めて駿くんに掴まれていた手を振り払った。

駿くんはそれに少し驚いて、私の方を見る。

「どうしたの、駿くん」

「……それも、作り笑い?」

え…………?


何、言ってるの?

なんで知ってるの?


「何言ってるの?」

私がそう言うと、駿くんは少し寂しそうに笑った。

「優衣ちゃんがいつも作り笑いで過ごしてることくらいわかるよ」


……なんで?


「気づいてないとでも思った?
残念。バレバレでした~」


いつもの調子で言う駿くん。


………本当に、この人といると調子狂う。


「隼と優衣ちゃんがずっと一緒にいたように、俺もその隣にいたんだよ?
隼が小さい頃から作り笑いなのだって知ってる、だからかな。
優衣ちゃんを初めて見た時にも気づいたよ。
あー、この人隼と同じだ。ってね」


……そういえば、この人は隼の幼なじみだったな。

そう説明されると、確かに気づいてもおかしくないと思ってしまう。


< 96 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop