私たちの、歪な関係

｢そう……｣


それでも私の顔は癖がついてしまったみたい。

どことなく口角が上がっている気がする。


｢ねぇ、優衣ちゃん｣


俯く私に駿くんが声をかける。

その言葉に駿くんを見上げると、彼もまた癖のついたように笑っていた。


｢俺、優衣ちゃんが好き｣



そしてその整った唇からその言葉がこぼれ落ちた。











…………え？









｢好きなんだ、隼と付き合うずっと前から｣





駿くんはそう言って私をまっすぐ見ている。

………えっと……

好き……？


駿くんが、私を？


しかもずっと前って……


｢でもこの前まで彼女が……｣


そう、この人は彼女がいたじゃないか。


｢好きな人が出来たから別れたって言ったよね？
それ、優衣ちゃんなんだ｣


……なんだか辻褄が合わない。


｢つまり、俺は優衣ちゃんの事が好きなままその子と付き合っちゃったんだよね。
本当、最低｣

駿くんはそう自傷的に笑った。


………なんだか私に似ているなぁ。


と、いうか隼の立場に似ているのかも。


隼はハルちゃんが好きだけど私と付き合ってくれた。

きっと駿くんもその女の子の押しに負けたんだ。