言えない、好き。
「今、何時。ここどこ。春先輩は。」
「ちょうど13時を回ったところ。ここは1年5組のケイの教室。お兄ちゃんは多分教室?」
「部活は?」
「あと2限終わったら行こうね」
寝ぼけ眼のケイの質問に淡々と答えた。
ぼけーっとわたしを見つめるケイがなんだか可愛くて頭をぽんぽんと撫でた。
あ、柔らかい。
ふわふわの色素の薄い髪の毛。
ずっと触ってみたかったんだよね。
するとまたケイの瞳が一段ととろーんとしてきて、今にも瞼が閉じてしまいそう。
「ダメだってば」
また耳を引っ張られて、落ちてきていたケイの瞼がパチリと上がる。
「優冬のそばにいたら、いつもこうなんだから!あんたは優冬に甘えすぎ!」
「耳痛い」
柊の次は椎花に耳をつねられそろそろ赤くなりだすケイの耳。