言えない、好き。
「ゆーうー……」
椎花からお説教されてるにも関わらず、ケイがわたしを呼んだ。
その瞬間きゅんと胸が鳴る。
みんなとは違う呼び方。
優冬の〝ふ〟が言えなくて、〝ユウ〟って呼ぶところ。
君からそう呼ばれるたびに小さく胸が鳴るんだ。
「なに?」
そんな気持ちを君に悟られないように、なんでもない風に君の問いかけに答えた。
「んー……呼びたくなっただけ」
ふわりと笑う。
無邪気に。
無垢に。
「もう!!!慧斗ってば話聞いてんの!?」
「ああ、椎花。なんの話だっけ?」
「あんたは全く!説教の途中なのにあたしの優冬とイチャイチャイチャイチャ!!」
「俺のなんだけど……」
そんな言葉に顔が熱くなる。
パタパタと仰いでいると不機嫌顔の柊と目が合う。
なんとなく気まずくてパッと目をそらした。