雪の日 ~すれ違う心~
俺のせいで雛子が死んだのは本当。


死んで償いたいと思っていたのも本当。


けれど、手首を切ったのは、衝動的だった。


自分で自分がよく分からなくなって、なにもかもがいやになったんだと思う。


「うそつき」


ふいに降ってきた言葉。


顔を上げれば、彼女は幾分落ち着いた、でも怒りを含んだ声で続けた。


「自分のせいだって、思い込みたいだけでしょ? 本当は、死んで雛子のところにいこうとしたんでしょ」


そうだったら、どんなに楽だったか。


俺は、逃避のために死のうとしたんだよ。




< 10 / 22 >

この作品をシェア

pagetop