雪の日 ~すれ違う心~
俺が病院に駆けつけたとき、雛子はまだ息があった。


目を開けなくても、口を開かなくても。


まだ、心臓は動いていた。


けれど、雛子は二度と目を覚ますことなく逝ってしまった。


白い布を顔に掛けられた雛子を前に、号泣するご両親。


俺は、その様を見ても信じられなかった。


雛子が死ぬなんて。


涙もこぼれず、ただただ信じられない思いでいっぱいだった。


通夜も葬式も、ガラスを隔てた向こう側の世界で行われているように感じていた。




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