雪の日 ~すれ違う心~
嗅ぎなれない消毒薬の匂いで目を覚ました俺。


最初に目に入ったのは、見慣れない天井。


ああ、死に切れなかったと思った瞬間、頬を思い切り叩かれていた。


「何してるのよ!」


頬を叩いたのは、心底怒っている彼女。


その目には、涙がたまっていた。


起き抜けに頬をはたかれて呆然としていると、彼女は涙をこらえながら言った。


「死んで、雛子とのところに行こうとしたの?」


「……雛子が死んだのは、俺のせいだ。死んで、償うしかないんだ」




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