とりまきface
 終わった……  

 間に合った……  

 力尽きて座り込んだ時には、もう、朝になりかけていた。


「ありがとうございます」

 遥人は深々と頭を下げた。


「ありがとうございます」

 菜々と時田も遥人に並び頭を下げた。


「よかったですね…… 間に合って……」

 工場長が嬉しそうに、遥人の肩を叩いた。


 工場の中に、どこからともなく拍手があがりだした。


 やがて、作業員達は疲れた体を引きずり、しかし、英雄のような笑顔で帰って行った。



 遥人は情けなかった。

 自分の開発部長としての自覚の無さに……


 アメリカ帰りで、自信過剰になっていて部下の動きを見て居なかった。

 自分の事で一杯だった……



 この工場は凄い。


 これだけの仕事を社員が一段となってやり遂げてしまうのだから……
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