死神執事と、トラブルメーカーな私の話
体育館の中は人で溢れていた。

様々な色のドレスで、いつもは閑散としているその空間が煌めいて見える。

哨はかすかに顎を上げ、人の間を縫うようにして通り抜けた。


体育館のステージの近く、左手前には椅子が並べられており、休憩所のようなところになっている。

哨はいつもそこに座って帰るまでの大半の時間を過ごしていた。

だから今日も、と思っていたのに。



「天川さあん」


『姫』の声に、その予定が崩れる音がした。

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