死神執事と、トラブルメーカーな私の話
人混みをすり抜けて中央へと向かう。

笑い声と話し声の奥の方から、誰かの悲痛な声が聞こえてきた。

「・・・・・・・・・」

そこで目にしたものは、優遇されている生徒が通う学校ではありふれているだろう光景だった。



一人の男子生徒が数人の生徒に囲まれ、かわるがわる暴力を受けている。

足を蹴られ、背中を押され、腹を殴られ、体重をかけた攻めではないとしても、痛みを感じるものであろうことは見て取れた。

暴力を仕掛けている生徒たちはといえば、何も考えていないような能天気な顔でへらへらと笑っている。



哨はその光景を見ても、顔色ひとつ変えなかった。
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