死神執事と、トラブルメーカーな私の話
ーー哨じゃないな。


足音の軽さから直感的に思った時、扉がノックされた。


「ーーはい」


返事をして椅子から立ち上がり、扉を開ける。使用人らしき女が立っていた。見たことはあるかもしれないが興味のない人間の顔なんていちいち覚えていない。


「ーーお嬢様はいらっしゃいませんが」


女が口を開く前に言い放つ。


「はい、今ちょうどシャワーを浴びています。戻ってきたらすぐ寝るとのことなので、ベッドをきれいにしておいてもらえたら仕事は終えていいそうです」


「・・・わかりました」


「では」


淡々と言って、使用人は軽く頭を下げ背を向けた。


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