影ある君と
どうして
10分くらい経ったのか、救急車が到着した。

どうして、俺はまだここにいるのかというと。
あいつの弱った姿がみてみたい。
血塗れになったあいつの姿がみたい。
そう、ただの好奇心だ。

最後くらいみてやろうか。


救急隊員が血塗れのものを担架で運ぶ。
吐き気がするほどえぐい光景だ。とくに女の方は。周りの状況からして、どうやら死んだらしい。あいつは……あれ、そんなにひどい状態じゃない。なんでだよ。


「ねえっ!君!あの子達と同じ学校の子だよね?」
救急隊員が突然、俺に訪ねた。

「はっ…?あ、あま、まぁ。」
あ、制服が同じだからか。

「悪いけど一緒に来てくれる?ご家族の方とまだ連絡がとれないから」



「え、や、えと、あ…は、はい」

こんな時、自分にすごく腹が立つ。嫌だと、はっきり言ってやればいいのに。本当にむかつく。

断ることも出来ず、俺は血塗れのあいつがいる隣に座っていた。俺は今、きっと死人のような顔をしているんだろう。

あぁ、最悪。なんでだよ。
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