副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
secret 4

副社長のピンチ!

「おはようございます」
莉乃は、副社長室に入ってきた誠に頭を下げた。
「おはよう」

チラリと向けられただけの、いつも通りの誠の姿にさえ動揺してしまった自分に莉乃は内心慌てた。
心の中がざわざわ音を立て、机の下でギュッと手を握った。

(しまった……)

無意識に顔をそらした莉乃を見て、誠は一瞬顔をしかめたように見えた。
しかし、何も言わず自分の部屋へと入っていったのを見て、莉乃は安堵して大きく息を吐いた。

莉乃はしばらく忘れていた気持ちをどうしていいのかわからず、唇を噛み締めると、気を取り直してパソコンへと目を向けた。

そこへ内線がなり、莉乃は受話器を急いで取ると、気を引き締めた。
「はい、副社長室、水川です」
「システム課の田中です。急ぎで副社長にご報告したいことがあります」
急いだ様子の田中に、
「確認します」

内線を繋ぐように言われ、数分して副社長室の扉がノックされた。
莉乃はすぐに田中であろうと、急いで扉を開けた。

「副社長がお待ちです。どうぞ」
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