副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
「田中、どうした?」
「それが……副社長!こないだの調査の件ですが」
言葉を濁した田中に、莉乃は部屋の外に出ようとしたところで誠に呼び止められた。
「水川さん、君もここにいて」
その言葉に、莉乃も田中も驚いて誠を見据えた。
「あ……はい」
莉乃は戸惑いつつも、そのまま扉の前に立って二人の様子を見守った。
「続けて」
誠の声に、田中は頷くと話し出した。
「
松田商事の件ですが、どれだけ、調整をつづけても、専務が納得してくれず、とうとう、契約を解除したいと……」
申し訳なさそうに、最後声が小さくなった田中に、
「解除?」
誠も驚いた声を上げた。
「はい。私の見る限り、不具合も、使い勝手も悪くないと思います。現場からもどうして解除なんてという声が出ているくらいなので。そこの結論に至った経緯が全く予想できません。しかしながら松田商事はかなり昔からの大口契約ですし、契約解除なんてことになると……」
そこへ、ノックのあと、返事も確認せずに専務の木下が入ってきて、その場は一瞬にして凍り付いた。
「誠君なにか大事になってるようだが?」
「これは専務。特に問題はありませんよ?」
にこやかな笑みを浮かべながら声を掛けた木下に、誠も表情をかえず笑みを浮かべると木下を見た。
「そうかね?いまここで話していた件、私に任せてくれてもいいんだよ?」
ニヤリと笑った木下に、田中は不快感を露わにした。
「いつからお聞きになっていたんですか?専務」
「田中!」
誠の声に、田中は唇を噛み締めると、口を噤んだ。
「専務。ご心配ありがとうございます。しかしながら全く問題はないので」
悪魔で態度を変えない誠に、少しの苛立ちをみせた木下は、
「そんな事を言っていられるも今のうちだぞ」
捨て台詞のように言葉を発し、木下は副社長室を後にした。
「やっぱり……」
誠は大きなため息をつくと、木下のでて行った後を睨みつけた。
「どんな手を使ったかわからないが、松田商事の役員を丸め込んだな。まあ、十中八九金だろうな。社長にはうまいこと説明しているんだろうな」
「副社長……!!」
田中の心配そうな声に、誠は真面目な表情を浮かべると、
「心配するな。大丈夫だ。この件は俺の方でなんとかする。一応報告書だけ作成して持ってきてもらえるか?」
「はい」
田中は頭を下げると、副社長室から出て行った。
「それが……副社長!こないだの調査の件ですが」
言葉を濁した田中に、莉乃は部屋の外に出ようとしたところで誠に呼び止められた。
「水川さん、君もここにいて」
その言葉に、莉乃も田中も驚いて誠を見据えた。
「あ……はい」
莉乃は戸惑いつつも、そのまま扉の前に立って二人の様子を見守った。
「続けて」
誠の声に、田中は頷くと話し出した。
「
松田商事の件ですが、どれだけ、調整をつづけても、専務が納得してくれず、とうとう、契約を解除したいと……」
申し訳なさそうに、最後声が小さくなった田中に、
「解除?」
誠も驚いた声を上げた。
「はい。私の見る限り、不具合も、使い勝手も悪くないと思います。現場からもどうして解除なんてという声が出ているくらいなので。そこの結論に至った経緯が全く予想できません。しかしながら松田商事はかなり昔からの大口契約ですし、契約解除なんてことになると……」
そこへ、ノックのあと、返事も確認せずに専務の木下が入ってきて、その場は一瞬にして凍り付いた。
「誠君なにか大事になってるようだが?」
「これは専務。特に問題はありませんよ?」
にこやかな笑みを浮かべながら声を掛けた木下に、誠も表情をかえず笑みを浮かべると木下を見た。
「そうかね?いまここで話していた件、私に任せてくれてもいいんだよ?」
ニヤリと笑った木下に、田中は不快感を露わにした。
「いつからお聞きになっていたんですか?専務」
「田中!」
誠の声に、田中は唇を噛み締めると、口を噤んだ。
「専務。ご心配ありがとうございます。しかしながら全く問題はないので」
悪魔で態度を変えない誠に、少しの苛立ちをみせた木下は、
「そんな事を言っていられるも今のうちだぞ」
捨て台詞のように言葉を発し、木下は副社長室を後にした。
「やっぱり……」
誠は大きなため息をつくと、木下のでて行った後を睨みつけた。
「どんな手を使ったかわからないが、松田商事の役員を丸め込んだな。まあ、十中八九金だろうな。社長にはうまいこと説明しているんだろうな」
「副社長……!!」
田中の心配そうな声に、誠は真面目な表情を浮かべると、
「心配するな。大丈夫だ。この件は俺の方でなんとかする。一応報告書だけ作成して持ってきてもらえるか?」
「はい」
田中は頭を下げると、副社長室から出て行った。