副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
(なんで?どうしてそういう事言うの?女慣れしてる人は……)
急に言われた言葉に、莉乃は動揺して誠から視線を外した。
「急にどうしたの?」
「いいから」
莉乃は誠の真剣な言葉に、おずおずと目線を戻した。
何を考えているかわからない誠の視線に、莉乃の心臓はバクバクと音を立てた。
「誠?」
呼びかけにも答えず、じっと見つめられる視線に耐え切れなくなり莉乃は俯いた。
誠自身、莉乃が何かを隠している様な気がして、ジッと揺らぐ瞳を見つめたが、莉乃の真意は解らず心の中で思案した。
(何を悩んでる?急に態度が違うのはなぜだ?)
逸らされた視線を追うように、莉乃を見ると、
「目の下、やっぱりクマができてる。きちんと眠れてるか?」
確かめたかった事ではないが、誠は会社では眼鏡で隠れて見えない疲れを感じ莉乃に問いかけた。
「え?クマできてる?最近寝つきがあまりよくなくて」
少し照れたように、目の下を莉乃は手で触れた。
莉乃はここ最近眠っていても、頭の中で悪夢が渦巻くような感覚に、夜中に何度か起きることも多かった。
誠の事の悩みと、莉乃の心にある一番の恐怖と戦っていた。