副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
誠が目を開けると、確かな温かさが腕の中にあった。

すぐ触れられそうな距離に莉乃の顔があり、誠はホッとして莉乃を見つめた。

いつも凛として強く見せていた莉乃だが、腕の中にすっぽりと納まり身をよせる莉乃は儚く感じた。

(よく眠ってる)

近距離にいた莉乃に驚いたが、愛しさがこみあげ髪を撫でて莉乃を見つめていた。

しばらくして、莉乃の瞳がゆっくりと開いた。
「おはよう」

「おは……よ……」

「まだ、眠れそう?眠っていいよ。側にいるから」

「うん……」

(温かい……なんか幸せだな……。夢?夢ならもっと誠に近づいていい……よね?)

ぼんやりとした意識の中、莉乃はそのまま誠の首筋に顔を埋めると、ぎゅっと抱きついた。

(おい莉乃!!それは……)

誠は首筋にかかる莉乃の息と、綺麗な莉乃のうなじに必死に理性を保つために、大きく息を吐いた。


(生殺しだろ)

誠は頭の中で、プログラミング言語を並べると、必死に平静を装おうと努力をした。

そんな誠を知るわけもなく、莉乃は気持ちよく微睡んでいた。
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