副社長には内緒!〜 Secret Love 〜

そんな驚いた誠の表情を見て莉乃も内心慌てていた。

(少しやりすぎた?でも、徹夜で仕事をした人を放置もできないし……)


誠についてすぐの時期は、ただの女好きのダメな二代目だと思っていた。
しかし、なにより仕事熱心で驚く才能を持っている事もこの2年でわかった。

デスクに戻ると、莉乃は軽く息を吐くと仕事を始めた。

(でもいくら仕事ができても、私は女癖の悪い男は信用できない。絶対に)

莉乃はギュっと唇を噛んでその事を思考から追い出すと、副社長室に内線を入れた。

「副社長、お時間です」

「わかった」

少しして、副社長室から出てきた誠は莉乃のデスクの前までくると、
「水川さん、色々ありがとう」
とにこやかに笑顔を向けた。

(やっぱり嘘っぽい笑顔)

莉乃は表情を変えることなく、心の中で呟いた。


< 12 / 323 >

この作品をシェア

pagetop