副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
そんな驚いた誠の表情を見て莉乃も内心慌てていた。
(少しやりすぎた?でも、徹夜で仕事をした人を放置もできないし……)
誠についてすぐの時期は、ただの女好きのダメな二代目だと思っていた。
しかし、なにより仕事熱心で驚く才能を持っている事もこの2年でわかった。
デスクに戻ると、莉乃は軽く息を吐くと仕事を始めた。
(でもいくら仕事ができても、私は女癖の悪い男は信用できない。絶対に)
莉乃はギュっと唇を噛んでその事を思考から追い出すと、副社長室に内線を入れた。
「副社長、お時間です」
「わかった」
少しして、副社長室から出てきた誠は莉乃のデスクの前までくると、
「水川さん、色々ありがとう」
とにこやかに笑顔を向けた。
(やっぱり嘘っぽい笑顔)
莉乃は表情を変えることなく、心の中で呟いた。