副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
secret 5

今から行く

週が始まれば、いつも通りの副社長と秘書に戻った。

証拠は掴んだ為、それを確実なものにし絶対に契約を取り戻す。
2人は、その仕事に奔走していた。


金曜の夜の20時をまわり、
「水川さん、もう上がって」
「もう少しだけ……」

莉乃はパソコンから目線を逸らすことなく答えた。そんな莉乃に誠は少し言葉を強めた。
「莉乃!」

「でも……」

そんな莉乃のもとに誠は近づくと、パソコンに集中している莉乃の顔をぐいっと自分の方へ向けた。

その行動に、莉乃は驚いて仕事の手を止めて誠を見据えた。


「莉乃、顔色が悪い。帰れ。命令」
莉乃は頬に触れたまま言われた誠の言葉にドキンと胸が鳴った。
「……はい」

莉乃は、触れられた頬が熱くなるのを感じ慌てて立ち上がった。
ふっと目の前が白くなり、一瞬意識が遠のいた。
すぐに、視界が戻ると誠の腕の中だった。

「大丈夫か?!」
慌てたように覗き込んだ誠の瞳に、莉乃は慌てて頭を振った。

「すみません。ちょっと立ちくらみがしただけで」
誠の胸を手で軽く押し腕から逃れると、軽く息を吐いた。

「少し、休んどけ。キリがついたら送ってくから」

「……すみません」

「謝るな。頼って欲しいって言っただろ?」
誠は莉乃をぎゅっと抱きしめると、自分の部屋に戻っていった。

2人は副社長室のドアが少し開いていたことに気づいていなかった。

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